水沢形成外科医院

TEL:0197-47-4700 FAX:0197-47-4701 休診日:木曜・日曜午後・祝日 診療時間:9:00~12:00 14:00~18:00

施術概要

鼻は顔の中央に位置するスクランブル交差点として、目や口とともにトータルでの顔貌を決定づけるうえでとても大切なパーツです。大きな特徴として組織に「遊び」がほとんどなく、鼻骨・鼻中隔軟骨・鼻軟骨(外側鼻軟骨や鼻翼軟骨)など複数の構造物が密接に関連し合いながら全体としての「鼻」を形作っているため、部分的な小手先の治療では「取って付けたような鼻」となってしまい、十分な効果をあげることは難しいケースが多いことをあらかじめご理解戴きたいと思います。細かい手術操作の一つ一つが術後の鼻の形態に大きな影響を与えるため、あたかも「精密なジグゾーパズル」と言った感じでもあり、美容外科では最も難度の高い治療のひとつと言って良いでしょう。

したがいまして、単体でのシリコンインプラントや軟骨移植による隆鼻術・鼻尖形成術、あるいは一部分を切り取るだけの鼻翼形成術の適応となる方は、実際には「非常に少ない」というのが私の印象であり、鼻の整容で基本となる手術は、鼻骨骨切り術や鼻中隔延長術も含めた「全鼻形成」であると考えています。美容診療では事前の綿密な打ち合わせがとても大切ですが、鼻の治療をご希望される場合は特にこのことが言えると思います。

1. 隆鼻

シリコンインプラントを挿入する方法、肋軟骨などの軟骨を移植する方法、ヒアルロン酸やハイドロキシアパタイトなどのフィラーを注入する方法の、主に3つの方法があります。人工物を避けたい場合は軟骨移植が第一選択となりますが、軟骨採取部位に「もう一つの傷」が出来ることは避けられません。そのため、美容外科ではシリコンインプラントによる隆鼻術が一般的で、その安全性も十分に確立されています。挿入後に癒着を起こしにくいことも利点の一つです。

シリコンインプラントや肋軟骨は、挿入後にそこが「浮き上がった」印象にならないよう、お一人お一人に合わせて微妙なラインまで細工を施します。インプラントとして、よりソフトで挿入後にフィットしやすいゴア・テックス(soft tissue patch®)をお勧めすることもあります。フィラーは少量ずつ注入しながら自然な外鼻の形状を創り出すことが出来ますが、効果は永続するものではなく、長期間持続タイプでも1~2年で吸収されてしまいます。

手術は局所麻酔でも可能ですが、鼻の知覚は複雑な支配形態をとっており、通常の浸潤麻酔に加えてブロック麻酔や粘膜麻酔を併用するため、確実な麻酔にはやや時間を要します。それに加えて、局所麻酔薬注入により組織が腫脹し術中の外鼻形態評価に支障を来す場合があること、軟骨移植の場合は麻酔領域が2か所になること、何より顔の真ん中をある程度広く操作しますのでストレスが大きいことから、全身麻酔での手術をお勧めさせて戴く場合もあります。フィラーは当院では国内で唯一認可となっているアラガン社製品を使用します。

所要時間は手術の場合は麻酔時間も合わせると1時間(シリコン)~2時間(軟骨移植)程度、ヒアルロン酸注入の場合は10分程度です。ダウンタイムは1週間程度を見てください。起こり得る合併症として、術後血種や感染のほか、皮膚のびらん潰瘍や局所壊死、インプラントの露出などがあります。

2. 鼻尖形成

いわゆる「だんご鼻」の改善を希望されるケースが多いですが、鼻尖の外形に加えてその「向き」も大切なポイントになり、トータルでの鼻の印象に大きな影響を与える部分です。手術としては、両側にある鼻翼軟骨の位置関係を調整する操作と、耳介軟骨や鼻中隔軟骨を移植したり、インプラントを挿入する操作を、状況に応じて使い分けることになります。

麻酔内容や手術時間は「隆鼻」と同じことが言えます。ダウンタイムも同じく1週間程度を見てください。起こり得る合併症も、基本的に隆鼻術に準じます。

3. 鼻翼形成

「あおり」の角度で下から鼻を見た場合、小鼻が横に大きく広がっているケースがあります。黒色人種で普通に見られる外鼻形態ですが、顔貌のトータルバランスとして奇異な印象を与える場合は治療の対象となります。

鼻孔が明らかに余剰である場合は、鼻翼基部(小鼻の立ち上がり)を温存しつつ、その外壁か床を部分切除する方法でもある程度の改善は見込めますが、それに加えて鼻翼基部の筋肉を引き締める操作が必要なケースが多いです。

注意すべき点は、鼻孔を縮小したり筋肉を引き締めたりすると、その影響は必然的に鼻尖、さらには鼻背、つまりは鼻全体(ひいては顔貌全体)に及ぶため、部分的操作で得られる効果は限られたものになりがちです。

鼻翼形成単体でも望ましい効果が得られると判断される場合は、手術は局所麻酔で可能です。手術時間は1時間程度、ダウンタイムは1週間程度を見て下さい。起こり得る合併症として、術後内出血や感染のほか、過剰な矯正、肥厚性瘢痕などがあります。

4. 全鼻形成

鼻を構成する「全ての部分」に少しずつ必要な操作を加え、トータルとしてお顔に合った美しい鼻を創り出すことを目的とします。鼻の美容手術としては基本に据えられるべき「ベンチマーク手術」であり、事前の評価で不要な操作を除外することが可能と判断されたケースのみ、隆鼻や鼻尖形成を単体で行うことになります。また鼻の姿かたちだけでなく、大切な気道としての機能面を保護あるいは改善することにも留意しなければなりません。

行う手術操作は多岐にわたり、またどの操作を選択しどのように行うかは全くの「ケース・バイ・ケース」であって、事前のコンサルティング外来にて詳しくご説明させて戴くことになります。代表的な手術操作としては、鼻骨骨切り術・鼻中隔延長術・軟骨移植術・ハンプ切除術・下鼻甲介切除術などがあり、これらを組み合わせて「全鼻形成術」を構成します。移植する軟骨は鼻中隔に操作を加える場合は鼻中隔軟骨を使うことが多いですが、「素材」としてより適切であると判断した場合には耳介軟骨を使うこともあります。

手術は全身麻酔となり、手術時間は「フルコース」の場合は3~4時間を要します。この手術は術後の十分な保護がとても大切であり、術後2週間は鼻の皮膚側と粘膜側をスプリントで固定します。美容手術では最も「腫れる」手術の一つであり、ダウンタイムは少なくとも2週間~3週間を見て戴いた方が良いでしょう。起こり得る合併症としては、選択された手術オプションに関する合併症を併せたものとなりますが、対応はより複雑となり長期に及ぶ可能性があります。