診療概要
よくある「ほくろ」や「粉瘤」などのできもの(皮膚腫瘍)、「ガングリオン」や「脂肪腫」などのしこり(軟部腫瘍)から、一部骨や軟骨に由来する腫瘍(骨・軟骨腫瘍)など、身体の表面から見たりさわったりして分かる腫瘍の多くを形成外科で治療しています。
腫瘍の診療で最も大切なことは、それが「良性」であるか「悪性」であるかを鑑別することで、いずれであるかによって治療方針は大きく違ってきます。確定診断には病理組織検査を行う必要があり、切除した腫瘍についてはすべて実施しますが、事前の的確な診断のため、肉眼的な臨床所見に加えてダーモスコープや超音波検査、場合によっては生検やCT検査・MRI検査などを行うことがあります。
一般的な良性腫瘍である「ほくろ」や「粉瘤」や「脂肪腫」については、なるべく周囲の正常組織には手を加えず、腫瘍を丸ごと取り除く「切除術」が治療の基本となります。切除したあとはそのまま傷を縫い閉じる「単純縫縮」が最も簡単で結果も良いことが多いですが、腫瘍が大きく、そのまま縫い閉じるには組織の余裕がなく見た目や機能に悪影響を及ぼす場合には、腫瘍を切除したあとの納まりを良くするために、「腫瘍切除術」に加えてさまざまな工夫をこらした「局所皮弁術」を行う場合もあります。
「皮膚扁平上皮癌」や「悪性黒色腫」などの皮膚悪性腫瘍、あるいは「脂肪肉腫」などの悪性軟部腫瘍については、単に腫瘍だけをギリギリ取り除く方法では取り残しや再発・転移の問題など十分な治療にはならない場合が多く、それぞれの悪性腫瘍に対応する取扱い規約に従った「拡大切除」や場合によっては「リンパ節郭清術」を行う必要があり、さらには「放射線治療」や「化学療法」などが必要になる場合もあります。「拡大切除」を行った場合には、どうしても腫瘍を取り除いたあとが大きくなりがちで、単純に縫い閉じることは出来ないことが多く、その場合には「植皮術」や「局所皮弁術」などを行う必要があります。加えて、腫瘍の局所だけの診療に留まらず、転移の有無を確認するため全身の検査を行い、治癒後も定期的な経過観察が必要になります。